iFi audio iDSD Valkyrie 約30万円のフラッグシップ機を買ったのでレビュー
今回はiFi audio iDSD Valkyrieのレビューです。
以前レビューした iFi iDSD Diablo 2 は本当に完成度が高くて、パワー感も勢いも抜群。ただ、使っていくうちに「もう少し空間の広がりが欲しい」「もっと余裕のある鳴らし方がしたい」と感じる場面も増えてきたんですよね。
そこでアナログアンプを探していた時に思い出したのが、iFi audioの上位機種である iFi audio iDSD Valkyrie でした。
実際に試聴してみると、かなり衝撃的でした。
今回は主に HIFIMAN Arya Organic と組み合わせてじっくり聞きこみました。
個人的には、イヤホンよりも“ある程度性能の高いヘッドホン”のほうが、この機種の良さはかなり分かりやすいと思います。
製品概要・スペック紹介

まず驚いたのは、音より先に“箱”でした。
Valkyrieは、とにかく巨大な木製ケースに入って届きます。
店頭で購入したのですが、商品まちがえてないか?と思ったくらい。ポータブルDAC/AMPとは思えないレベルで高級感があります。
しかもこの箱、ただ大きいだけじゃなく質感もかなり良いんですよね。開封した瞬間から「iFiの本気モデルなんだな」という空気感があります。

う、うつくしイ。。。
iFi audio iDSD Valkyrieのスペックは以下の通りです

4.4mmバランス接続で最大2,250mW(64Ω)というかなり強烈な出力を持っています。
以前使っていた iFi iDSD Diablo 2 も相当パワフルでしたが、Valkyrieはさらに余裕感がある印象。
実際、HIFIMAN Arya Organic のような平面駆動ヘッドホンでも、「まだ余力あるな」と感じるくらい余裕を持って鳴らしてくれます。
このクラスなら有線か非圧縮無線を使う人がほとんどかと思いますが、一応Bluetoothにも対応。主要コーデックもしっかり対応しています。
バッテリー容量も20,000mAhとかなり大きめ。
サイズと重量はかなり大型ですが、そのぶん駆動時間には余裕があります。
実際、“モバイルバッテリー内蔵の据え置き機”みたいな感覚に近いです。
もちろん882gという重量は気軽とは言えません。
「抱きかかえて街歩き」運用はできなくなないです(笑)が、ポケットに入れて運用は無理ですね。
専用のポーチに入れて持ち運ぶくらいなら余裕です。最上級トランスポータブルといった印象。


ジャックの挿入感について
これは地味なポイントなんですが、個人的にはかなり安心しました。
iFi製品って、機種によっては「プラグ削れるんじゃないか?」と思うくらいジャックが硬いことがあるんですよね。
特に高級ケーブルを使っていると、抜き差しの硬さって結構気になります。
その点、iFi audio iDSD Valkyrie はかなり良好でした。
以前使っていた iFi iDSD Diablo 2 と同じような感覚で、かなりスムーズに抜き差しできます。
必要以上に硬すぎる感じもなく、逆に緩すぎることもない絶妙なバランス。
“するする入って、ちゃんと固定される”
という感覚です。
高価な4.4mmケーブルを使っている人ほど、この安心感はかなり大きいと思います。

外観・サイズ感
デスクに置くと、かなり“据え置き感”がある
iFi audio iDSD Valkyrie をデスクに置くとこんな感じ。

横に置いているノートPCと比べても存在感が強く、「小型据え置きアンプ」みたいな雰囲気があります。重量も約882gあるので、気軽にポケットへ入れて持ち運ぶタイプではありません。
ただ、その代わり所有感はかなり強いです。個人的には、“外でも使える据え置き機”という表現がかなりしっくりきました。
しかもデザインはかなり高級感があります。
音質主観レビュー
第一印象|“超高解像度なのに落ち着いている”

今回の試聴では、Gainは炎マークの「Turbo」(中ゲイン)で使用。
まずは音質補正系の
- XBass II
- XPresence
- XSpace
はすべてオフで検証しました。
最初に感じたのは、とにかく空間の広さ。
左右に広いというより、“空気がしっかり存在している”ような空間表現で、音場の見通しがかなり良いです。
その上で、解像度もかなり高い。
細かい音までしっかり見えるタイプなんですが、無理やり輪郭を強調するような方向ではなく、かなり自然です。
音の傾向としては、まさにBurr-Brown DACらしい印象。
低域をド派手に押し出すタイプではなく、全体のバランスがかなり整っています。
個人的には、“究極のニュートラル寄り”という感覚でした。
特に HIFIMAN Arya Organic のような平面駆動ヘッドホンとの相性はかなり良く、駆動力不足を感じる場面はほぼありません。
音量だけでなく、音全体に余裕感があります。
ただ、以前使っていた iFi iDSD Diablo 2 と比べると、かなり“優等生”な方向。
Diablo2のような勢いや熱量、低域の押し出し感は少し控えめです。
そのぶん聴き疲れしにくく完成度は高いんですが、最初は少し「おとなしいな」と感じる人もいるかもしれません。
逆に言えば、それだけ素の完成度が高いタイプです。
XBass II|かなり自然に“気持ちよさ”を足してくれる
個人的に一番良かったのがXBass II。
これ、かなり完成度高いです。
単純に低音を増やすというより、
- キックのアタック感
- ベースの量感
- 音の土台感
を自然に強化してくれます。
しかも不思議なのが、音場をほとんど壊さないんですよね。
よくある低音ブーストみたいに、
「低音だけ急に膨らむ」
「空間が狭くなる」
みたいな感じがかなり少ない。
感覚としては、
“元々このヘッドホンが持っていた低域”
みたいな自然さです。
Arya Organicとの組み合わせでもかなり相性が良く、個人的には常時ONでも全然アリだと思いました。
XPresence|ボーカル帯域だけをグッと前に出す
XPresenceはかなり独特。
オンにすると、抜け感や空間の広さはあまり変わらないまま、ボーカル帯域だけがグッと前に出てきます。
感覚としては、
“開放型ヘッドホンのハウジングを手で軽く押さえた時”
みたいな変化に近いです。
中域の密度感だけが前に寄る感じ。
ただ、嫌なクセはそこまでありません。
変に鼻詰まりっぽくなる感じも少なく、「ちゃんと考えて調整されてるな」という印象。
ただ個人的には、これ単体でONにして常用することは少なそうです。
曲によってハマる時はあるんですが、Valkyrie自体の素の完成度が高いので、常時使いたいタイプではありませんでした。
XSpace|変化は繊細。でも理解すると面白い
一番変化が分かりにくかったのがXSpace。
ただ、よく聴くと確かに空間の整理感が変わります。
DTMっぽく表現すると、
“サイド成分の800Hz付近を、広めのQ値で1.5dBくらい下げた”
ような感覚。
少し中域の圧迫感が抜けて、横方向の見通しが良くなる印象です。
ただし、センター成分への効き方は曲によってかなり変わります。
そのため、「オンにした瞬間めちゃくちゃ広がる!」みたいな派手な効果ではありません。
逆に言えば、かなり繊細なチューニングです。
個人的には、
「空間を無理やり広げるDSP」
というより、
“空間の圧迫感を少し整理する機能”
として理解すると、かなり納得感がありました。
XBass II + XPresence = 最高
個人的に一番ハマったのが、「XBass II」と「XPresence」を両方オンにした状態です。
まず、XPresence単体で感じていた“少しだけ作ったような押し出し感”がかなり自然になります。
そこにXBass IIの低域の土台感が加わることで、音全体のバランスが一気にまとまる印象でした。
特に良かったのが、iFi iDSD Diablo 2 で感じていた、
- 音のノリ
- パンチ感
- 勢い
みたいな部分がしっかり戻ってくること。
しかもValkyrie側の特徴である、
- 空間の広さ
- 見通しの良さ
- 高い解像度
はそのまま残っています。
つまり、
“Diablo2で好きだった熱量感”に、
“Valkyrieの広大な空間表現”
が加わる感じ。
個人的には、「もう少しこうだったら完璧なのに」と思っていた部分が、この組み合わせでかなり理想形に近づきました。
まさに、自分が欲しかった音そのものです。
K2テクノロジー(K2HDプロセッシング)とデジタルフィルターについて
iFi audio iDSD Valkyrie には、K2HDプロセッシングと6種類のデジタルフィルターが搭載されています。
ただ、正直に言うと変化量はかなり小さめです。
XBass IIやXPresenceのように、“オンにした瞬間わかる”タイプではありません。
どちらかというと、
「最後の微調整」
として使う機能という印象でした。
実際、フィルターを切り替えても音の方向性が大きく変わるわけではなく、
- 音の角
- 空気感
- 滑らかさ
- 音像の輪郭
あたりが少し変わる程度。
なので、曲やヘッドホンとの組み合わせで「なんとなくこっちが好きかな」と選ぶくらいがちょうど良いと思います。
K2HDについても、劇的な変化ではありません。
ただ、オンにするとオフ時よりも少し情報量や解像感が上がったような感覚はありました。
特に高域の細かい余韻や空気感が、わずかに見えやすくなる印象です。
逆に言えば、元の音を大きく壊さない絶妙な調整とも言えます。
個人的には、
「絶対オンじゃないとダメ」
というほどではありませんが、細かく追い込みたい人には面白い機能でした。
付属電源「iPower2」で音質は変わる?
iFi iPower2 も付属していたので試してみました。
ただ、結論から言うと、個人的には音質の違いはほとんど分かりませんでした。
もちろん環境によって差はあると思いますが、少なくとも今回の環境では、
- ノイズ感
- 解像度
- 空間表現
- 音の厚み
あたりに明確な変化は感じませんでした。
特にValkyrie自体がかなり静かな機種なんですよね。
もともとノイズ感がほぼ無く、背景もかなりクリーンなので、「電源を変えた瞬間静かになる」みたいな変化も分かりにくかったです。
そのため、個人的には
“音質改善アイテム”
というより、
“安定した電源供給用”
として考えるほうがしっくりきました。
もちろん電源環境が悪い場合は変わる可能性もありますが、少なくとも通常使用では、劇的な変化を期待するタイプではないと思います。


まとめ
iFi audio iDSD Valkyrie を使って一番感じたのは、単純なスペックの高さではなく、“音楽体験そのものの完成度”でした。
最初はかなりニュートラルで優等生的な印象だったんですが、「XBass II」と「XPresence」を組み合わせた瞬間、一気に印象が変わりました。
解像度や空間表現はしっかり高いまま、
- 音のノリ
- パンチ感
- 没入感
がしっかり加わる。
特に、以前使っていた iFi iDSD Diablo 2 で気に入っていた熱量感と、Valkyrieの広大な空間表現が両立した時は、「まさに欲しかった音だな」と感じました。
また、個人的にはイヤホンよりもヘッドホン向きの製品だと思います。
特に HIFIMAN Arya Organic のような、ある程度性能の高いヘッドホンを接続した時の完成度はかなり高いです。
駆動力にも余裕があり、“据え置き機っぽい余裕感”をしっかり感じられます。
面白いのは、この機種がかなり幅広い方向に対応できること。
素の状態なら、
“高解像度でニュートラルなモニター寄り”
XBass IIやXPresenceを使えば、
“ノリ良くパンチのあるリスニング寄り”
というように、かなり柔軟に音作りできます。
一方で、デメリットもあります。
まず、ポータブルとしてはかなり大型で高価。
実際には持ち運びもできますが、「気軽にカバンへ放り込む」タイプではありません。
あと、ゴールド系の派手なデザインもかなり好みが分かれると思います。
さらに、付属の巨大な木製ケース。
高級感はすごいんですが、正直かなりデカいです。
所有欲は満たされる反面、保管にも処分にも少し困ります。
ただ、それも含めてValkyrieって、“実用品”というよりロマン機なんですよね。
「ポータブルでも妥協したくない」
「据え置き級の音を持ち歩きたい」
「音楽にもっと浸りたい」
そんな人には、かなり特別な一台だと思いました。


