今日はiFi-Audioから発売されているDAC付きポタアンのiDSD Diablo2を紹介していきます。いいポタアンなのに見た目と値段で敬遠されがちなのか、使っている人もレビューも少ないのが残念。

紹介といってもこれは案件でもなんでもないただのオーディオ好きなド素人の感想ですので細かいスペックデータは公式サイトを参考にしてください。

ここでは実際に手にしてわかることを中心にレビューしていこうと思います。

よかったら最後までお付き合いください。

入手経緯と付属品

iFi audio iDSD Diablo2は2023年12月20日に発売されたDAC内蔵ポータブルアンプです。2026年4月現在も販売されており新品価格は231,000円(税込)と、ポータブルDAC/AMPとしてはかなり高価な部類に入ります。

発売当初は「さすがに高すぎるだろ……」というのが第一印象でした。ifi製品は独特な外観や製品思想をお持ちで魅力的なんですが、お値段も独特… とても手が届く価格ではなく、半ば諦めていました。

そんなある日、ポータブルオーディオ専門店のセールでAランク中古品を発見。さらに獲得ポイントまで含めると実質半額以下という破格の価格だったため「これは今しかない」と思い切って購入しました。

購入したのはAランクの付属品未揃い品です。

製品には変換プラグのほか、iFiオリジナルのACアダプター「iPower II」が付属しています。

公式サイトでは、このiPower IIを使用することでノイズを抑え、よりクリーンな電力を供給できると紹介されています。

「実際に音は変わるのか?」という点が気になったので、iPower IIの有無で聞き比べも行いました。その結果については、音質レビューで詳しく紹介します。

外観と機能

フロントには、大きなボリュームノブを中心に、3段階のゲイン切り替えスイッチ、6.35mmと4.4mmのヘッドホン出力、そしてMEMSイヤホン専用のスイッチが配置されています。

MEMSイヤホンを持っていないのでこの専用スイッチについては今回は試せておらず、レビュー対象外です。いつか手に入れたら追記しようかと。

一方で、iFi Audioといえばおなじみの「X-BASS」と「XSpace」はなんと非搭載!

個人的にはMEMS専用スイッチを搭載するのであれば、より多くのユーザーが活用できるX-BASSやXSpaceを搭載してほしかったというのが正直な感想です。

電源はスイッチではなく、ボリュームノブを回すことで電源が入る仕様です。

ボリュームノブの左下には、誤操作防止用のロック(ストッパー)が搭載されています。

ただ、このDiablo2は非常に高出力であるにもかかわらず、ボリュームノブが軽く回るため、少し触れただけでも音量が変わってしまいます。少々危険な仕様ですね。そのため、ロック機能は積極的に使いたいところです。

しかし、このロックも使い勝手はあまり良いとは感じませんでした。

個人的にはロック機構を付けるよりも独立した電源スイッチを搭載してほしかったですね。そうすれば普段はボリュームを固定したまま運用でき、誤操作も防ぎやすくなったのではないかと思います。

裏側は左からBluetooth切り替えスイッチ、4.4mmラインインアウト、S/PDIFデジタル入力、USB-C5V電源、USB-Cのデジタル入力です。

裏面にはiEMatchが付いています。4.4mmや6.35mmそれぞれの接続方式に合わせて最適な出力に切り替えられるという便利機能ですね。3種類のゲインとこのiEMatchによってイヤホンヘッドホンを選ばずかなり幅広く対応できる印象でした。

一つ注意なのが、ゲインをNitroにするとiEMatchをオンにしていても効かず、MAXパワーで出力されるので気を付けてください。イヤホンなら簡単にドライバーを吹っ飛ばす出力は持っていると思います。

ただこのiEMatch、オンにすると音質に若干影響があると聞いたので実際に試してみました。そちらも音質のほうで話していきます。

重さは450gでズボンのポケットはギリギリかも。でかい長財布って感じですね。

手に持ったらこんな感じ。所有欲ハンパネ。

僕はこのスタイルでよく試聴に出かけます。シリコンバンドも付けやすくて最高ですぞ~。

スタンドこと、地獄の翼(これ公式が言ってます)は4つ付属していて、傾斜が付くようになっているのでデスクにおいて使うにはかなり便利です。

付けるときはこんな感じで下から溝に沿ってスッと入れ込みます。本体の22本の溝にはスタンドをつける以外にも冷却効果があるみたいですね。実際に長時間使っても発熱は僅かでした。

ケースに関してはあまりいい出来ではなさそうでした。白なので汚れそうなのとチャックが硬すぎて開け閉めしにくいです。せっかく持ち運べるサイズなので使いたいところではあるけど…ちょっと他のいいサイズのもの探そうかなって思います。残念。

音質

独特な低音域を持つ超パワー系

今回の試聴には開放型ヘッドホン:HIFIMAN Arya Organicを使用しました。

Nitroゲインで試聴しました。

最初に印象に残ったのは低域です。量感や音場の広がりは控えめで、超低域まで深く沈み込むタイプではありません。しかし、決して物足りなさはなく、膨らまず輪郭を保ったまま芯のある低音を鳴らしてくれます。

Arya Organicの開放型らしい軽やかさを損なうことなく「ドンッ」という重量感ではなく、「ズシッ、バキッ」としたスピード感のある低音が飛び込んできます。

他の帯域を邪魔することもなく、うねるような存在感を持ちながらも主張しすぎない。この独特な低域は魅力的ですね、すっかり惹かれました。

試聴時にはQuestyle SIGMA Proとも比較しました。SIGMA Proは全体的にすっきりとした音で、キックドラムの余韻から生まれる地響きのような低音までフルレンジで高い解像度を維持したまま描写します。一方、Diablo2は低音の押し出し方や質感に個性があり、どちらが優れているというより好みがはっきり分かれるタイプだと感じました。

中域はボーカルの存在感が非常に強く、歌声が自然と一歩前へ出てきます。

特に印象的だったのは、マイクと口元の距離感まで伝わってくるような表現力です。単に解像度が高いだけでなく、マイクに乗る微細な空気の揺れや声帯の震え、ブレスの質感まで丁寧に描き分けてくれます。そのため、まるでレコーディングブースの空気をそのまま持ち込んだような臨場感があります。

高域は伸びや横方向への広がりこそ控えめですが、ポータブル機とは思えないほど情報量が豊富で、細かな音までしっかり描き出してくれます。ただし、刺さるような高域ではないものの、情報量の多さもあって長時間のリスニングでは少し耳が疲れやすい印象でした。

全体の帯域バランスをあえて極端に表現するなら、40Hz以下と18kHz以上を控えめにし、その分ボーカルのおいしい帯域へエネルギーを集中させたような音です。かなりリスニング寄りのチューニングで、この縦方向に弾むような独特の空間表現が非常に魅力的でした。

「もっと聴いていたい」と自然に思わせてくれる音で、ハイエンド機らしい満足感を味わえる一台です。

iEMatch

ボリュームは10時手前あたりで十分な音量が取れます。

出力が非常に高いため、ボリュームノブを少し回しただけでも音量が大きく変わってしまう点は少し扱いづらく感じました。

とはいえ、3段階のゲイン切り替えとiEMatchを組み合わせることでイヤホンから大型ヘッドホンまで幅広く対応できます。

試聴に使用した平面駆動ヘッドホン「HIFIMAN Arya Organic」では、Normalゲイン・ボリューム12時前後でちょうど良い音量でした。そのため、ヘッドホン用途であればiEMatchを使う場面はほとんどないと思います。

iEMatchについても試してみましたが、Diablo2に関してはオン・オフによる音質の違いはほとんど感じられませんでした。

ただし、本来iEMatchが不要な高インピーダンスのヘッドホンで使用すると、低域がわずかに細くなるようにも感じました。気のせいかもしれませんが個人的には必要な場面だけ使用するのがおすすめです。

iPowerII

続いて、付属のACアダプター「iPower II」を使用した感想です。

まず、音質の変化は僅か感じられました。

傾向としては、中高域から高域にかけての存在感が増し、高域の伸びもわずかに良くなったように感じます。ただ、もともとボーカル帯域が特徴的なDiablo2にさらに高域のエネルギーが加わるため、曲によってはサ行が少し刺さる場面もありました。

一方で、iFi Audioは公式サイトにて「iPower IIは音質向上よりも、ノイズを低減し、クリーンな電力を供給することを目的としている」と謳っていますね。

そもそもDiablo2はバッテリー駆動時には電源ノイズの影響を受けにくい設計なっているので、iPower IIは据え置き環境で充電しながら使用する際に、電源由来のノイズを抑えるためのアクセサリーという位置付けなのだと思います。

個人的にはバッテリーへの負荷や劣化を考えると普段はバッテリー駆動で使用し、必要なタイミングだけ充電する運用がおすすめかなと思います。充電しながらの長時間使用はできるだけ避けたほうが良いと感じました。

ノイズについて

スマートフォンと重ねて使用すると、音楽の再生中に「ピーーーー」という連続したノイズが発生することがありました。

本体をスマートフォンから離すとノイズは発生しなくなるため、おそらくスマートフォンの通信による電波干渉が原因ではないかと思います。

実際にスマートフォンを機内モードにするとノイズは解消されたため、スマホと重ねて使用する場合は機内モードにするのがおすすめです。

まとめ

iDSD Diablo2はポータブルDAC/AMPというよりも、デスクで据え置き運用をメインに考えている人におすすめしたい一台です。

中古市場では価格がかなり落ち着いてきているので、状態の良い個体が見つかれば十分狙う価値はあると思います。

一方で、音作りにはかなり個性があります。万人受けするタイプではないため、購入を検討している方はできれば一度試聴して自分の好みに合うか確認するのがいいかなと思います。

この価格帯なら他の機種とも検討してみてもいいかも。

個人的には、イヤホンよりも大型のヘッドホンとの組み合わせで真価を発揮する製品だと感じました。特に平面駆動ヘッドホンとの相性は非常に良く、Diablo2ならではの低域とボーカル表現を存分に楽しめます。

久しぶりに「これは長く手元に置いておきたい」と思えた一台でした。これからも大切に使っていこうと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

では、また。

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